大会趣旨

MC900065499 事業実施の背景

阪神・淡路大震災から20年を超える歳月が流れ、これまで兵庫、神戸では防災や減災に関する研究や啓蒙活動、防災教育等が活発に展開されてまいりました。そして私達はこれからも、災害の貴重な体験を無駄にすることなく、その教訓や学びを日本のみならず世界へと発信し、積極的に社会に貢献していく必要があることは言うまでもありません。

そうした中で我が国では東日本大震災、広島土砂災害、御嶽山噴火、常総市洪水災害、熊本地震など毎年のように災害が発生し、特に昨年は大阪北部地震、西日本豪雨災害、台風21号災害、北海道胆振東部地震など、災害が多発した一年でもありました。これらを振り返ると、県域を越える被害が多発し、一道府県での対応能力を超え、人的被害のみならず多額の経済損失を生み、国レベルの対応が必要な災害だったと言えるでしょう。ここで今回は国レベルでの防災・災害対策、その対応組織として「防災省」設置構想を考えてまいります。

災害が発生すると、我が国は「災害対策基本法」に基づき、中央防災会議が作成する「防災基本計画」によりその対応が実施されます。ところがこれまでの防災・災害対策とその対応、さらにこれからを考えた時、このままの体制で充分といえるでしょうか。

そこで、国や地方行政機関が実施する防災・災害対策とその対応が法体系の中でどのように実施され、過去の実災害対応でどのような問題があったのか、そして今後どのような行政の仕組みや対策が必要なのか、今一度考える必要があると思います。それらを踏まえ、今回の論題は「わが国は防災省を設置すべきである」と掲げました。

MC900065499 期待される効果

防災・社会貢献ディベートはエビデンス(論拠)を集める過程で過去の調査結果や考察、対応事例等の知識を得るとともに、討論の過程で相手の主張を理解、事実誤認や不十分な説明を指摘、説得しながら、プランを立論・検証していく能動的な学びの場です。同時に、傾聴力、プレゼンテーション能力、洞察力、調査力、コミュニケーション力、論理的思考能力の向上が期待され、教育的効果の高いものです。

これまでの大会から得られた効果として、①地域のこれからを担う若い世代が防災や社会貢献に関心を持ち、深い知識を会得するきっかけとなること、②防災・社会貢献に最も必要である瞬時、的確な判断力を体得する機会となること、③出場選手のみならず、友人、家族、オーディエンス、指導教官等、関係する多くの人に好影響を与えていることが挙げられます。

これまでの取り組みで、のべ500人を超える高校生・大学生・市民がディベート大会に出場しています。そのなかで、福島県等の被災地を含む県や市の職員、あるいは防災減災NPOを立ち上げて地域の安全安心や復興を先導する職を選択した若者、防災を学ぶことができる大学に進んだ若者も少なくありません。今大会を通して、防災や社会貢献活動の中核となる人材育成・スキルアップに貢献することも目指しています。